妊娠を困難にする「射精障害」とは?

男性編

知っておきたい「精子」の話、「勃起」のしくみ

●妊娠を困難にする「射精障害」とは?

EDのように勃起機能に問題はなくても、「射精」がタイミングよくできないことで、妊娠が困難になっているケースもあります。
これをまとめて、「射精障害」と呼びますが、具体的には、膣内射精不能、早漏・遅漏、逆行性射精などに分類できます。

そのうち、深刻な「男性不妊」につながるのが、膣内射精障害と逆行性射精です。
症状と考えられる原因・対処法は、下記のとおりとなります。

(1)膣内射精不能

マスターベーションによる射精はできるが、膣内では射精できないこと。
原因としては、誤ったマスターベーションや性交に集中できないことが挙げられます。
誤ったマスターベーションとは、布団などに激しくこすりつけたり、陰茎を強く握りすぎたりなど、物理的な刺激が強すぎるケース。
このようなマスターベーションに慣れてしまうことで、膣の刺激では射精が起きにくくなってしまうのです。
そのほか、妊娠へのプレッシャーが強く、パートナーから射精をせかされたりすることが、原因となることも。

改善には、マスターベーションのやり方を改めたり、心理的な要因を取り除いたりすることが必要です。

(2)逆行性射精

正常ならば射精時は閉じているはずの膀胱の一部が開いたままで、精液が膀胱に逆流してしまうこと。
射出される精液量が減少、あるいはまったく精液が射出されないという症状が現れます。糖尿病、脊髄の損傷、過去の手術歴などが原因と考えられ、膀胱の入り口を塞ぐ薬物を投与するか、人工授精という医学的治療法に頼ることになります。



近年は特に(1)の膣内射精障害で不妊に悩むカップルが増えている傾向にあるようです。
実際にセックスをしなくても、氾濫する性情報で手っ取り早く快楽を得られてしまう環境が背景にあるのかもしれません。

自分の膣内で射精できないということで、パートナーである女性が落ち込んだり、性行為がスムーズにいかないことを気にしてセックスレスになったりなど、夫婦間のコミュニケーションがうまくいかなくなることが、「不妊」という事実より問題と言えるでしょう。

劇的な改善法というのは、なかなか難しいですが、「射精」のメカニズムを知ることで、ヒントが見えてくるかもしれません。
射精は、性的興奮がクライマックスに達した瞬間、前立腺、精嚢、副睾丸、精管のまわりの筋肉と尿道括約筋がいっせいに収縮して、精液を前立腺部から尿道口へと急激に押し出すことによって起こります。
ここの筋肉群を自在に動かせるよう鍛えることも悪くないですが、その前に射精反射を起こす神経の働きが起こらないことには、射精に至りませんので、その順序を勘違いしないことです。

[興奮するから、「勃起」するのではありません]でも解説しましたが、ペニスを勃起させるのは、自律神経のうちの副交感神経でした。
しかし、勃起したペニスに射精の実行命令を下すのは交感神経です。
つまり、副交感神経から交感神経へのスイッチが切り替わることで、射精が実行されると理解してください。

このスイッチが早く切り替わりすぎると早漏となり、なかなか切り替わらないと遅漏や膣内射精障害になると考えられるわけです。
いずれも、自律神経のバランスが崩れている状態と言えるでしょう。
その意味では、規則的な生活で心身のストレスを溜めないことも重要だと考えられます。

その上で、マスターベーションやセックスのあり方を見直してみましょう。
自分なりにできる改善法としては、下記のような習慣を心がけてみてはいかがでしょうか。


●なるべく膣刺激に近い形で、弱い刺激のマスターベーションに切り替える
(陰茎を強く握ると、自分の平の手の圧力に慣れてしまうのでNG。やさしく包むように握り、勃起した状態でペニスの皮を剥き、亀頭部を痛くない程度に握って擦るとよい)

●アダルトビデオなどの刺激に頼らず、目をつぶって性的な想像を膨らませてマスターベーションをする


まずは十分にリラックスし、副交感神経を優位にした状態で性的刺激を蓄積させ、射精中枢に伝達指令を送る……その一連の流れをなぞるように、実際のセックスに近い刺激・リズムで行なう「リハーサル」を重ねてみることで、徐々に自律神経のスイッチを切り替えることを体に覚えさせるのです。

ただ、一人でする改善の努力には限界があります。
膣内射精障害の克服には、パートナーの協力と理解が不可欠です。
男性はとかく問題を直視することを先延ばし、協力を求めることが苦手ですから、もし女性のあなたがこれを読んでいるなら、上手にリードしてあげてください。

射精がなくても快感を与え合う性的コミュニケーションを心がけ、気持ちが良かったらそれを言葉にしてパートナーに伝えてあげましょう。
性的興奮を高めると同時に、自信を与えることができ、射精障害を克服するきっかけになるかもしれません。

そして、マスターベーションの回数を減らして、セックスをする機会を増やすように、お二人で努力してみてください。
赤ちゃんのことは少し忘れて、夫婦のコミュニケーションを優先してみることが、妊娠への近道になることだって考えられるのです。


先生の豆知識コラム

川上智史

北里大学院医療系研究科医学
専攻博士過程修了医学博士

子宝レシピ

不妊治療に効果のある様々なレシピをご紹介!

効果のあるもの

不妊治療に効果のあるアロマや漢方、ヨガなどをご紹介!

にほんブログ村 赤ちゃん待ちブログ 妊活へ
にほんブログ村

Copyright © 2015 妊活ノート All rights reserved.