2章でED(勃起不全)は、性機能の減退ばかりでなく、「全身の血流の悪化が原因でも起こる」ということを述べました。
血流悪化の原因は、食生活、運動不足、長時間の緊張(ストレス)状態の持続、冷えなどいろいろありますが、手軽にできる改善策としては血管に「外的刺激を与える」方法があります。
運動も、血流を良くする「外的刺激」の一つですが、よりダイレクトに血管に圧力を加える「マッサージ」という方法もあります。
造精機能を担う下半身を中心に、正しく医学的なマッサージを行なうことで、男性ホルモンの分泌をアップしていきましょう。
自分でやるのも構いませんが、男性機能アップ効果を狙うなら、パートナーにやってもらうのことをお勧めします。
男性機能のアップには、女性に触れてもらうこと、リラックスすることも大切な要素。
信頼できるパートナーに体をケアしてもらうのは、まさに理想的なのです。
実践に際して、まず注意して欲しいのは力加減です。
マッサージといっても、肩や首を揉むようなイメージで力を入れてはいけません。
Vゾーンや下腹部などは、皮膚もやわらかく、大切な内臓がおさまっている敏感な部位です。
さするように、やさしく刺激していきましょう。
最初、血管に圧力を加えるという形で説明しましたが、実際のマッサージはリンパの流れに沿って刺激していくのが効果的です。
「リンパ」とは、内臓や皮膚をはじめ、体中に網目のように張り巡らされている管のこと。
このリンパ管の中にはリンパ液が流れており、血管を通じて取り込まれなかった不要なたんぱく質や脂肪、水分などの老廃物を運搬して、体の中をきれいに
する役目を担っています。
この流れが悪くなると、細胞内に老廃物が溜まり、コリやむくみの原因となってしまうのです。
リンパの流れを滞らせる最大の原因は、血液の循環が悪化すること。
血管の収縮や筋肉の緊張が長く続くことで、リンパは流れにくくなります。
このとき、リンパの流れを調整することで、老廃物がきちんと処理されると、血液の流れも良くなり、勃起力も高まっていくというわけです。
もちろん、リンパ管自体にも、適切な圧力がかからないと流れが悪くなります。
運動やマッサージで、リンパの流れを良くして、全身の不調を改善していきましょう。
疲れが溜まる、体が重いといった精力減退につながる症状も、リンパの流れをスムーズにすることで解消されていきます。
では、具体的なマッサージ方法をご説明していきましょう。
❶膝の上から足の付け根の鼠径(そけい)リンパ節に向かって流すようにマッサージしていきます。 | |
❷脚の付け根にある鼠径リンパ節に、親指以外の4本の指を差し込むように当てて、そのまま引き上げるイメージでリンパを上へ流していきましょう。 | |
❸次は、男性ホルモンの分泌を促す下腹部のツボ、横骨(おうこつ)と大赫(だいかく)への刺激です。横骨は、恥骨の上縁中央から左右5㎜の場所にあり、大赫は、横骨から上1㎝の部分にあります。横骨→大赫の順に、人差し指と中指の二本で痛くない力加減で刺激。3秒押して離すを5回ずつ、計4ヵ所で行なってください。 | |
❹最後のツボは気穴(きけつ)。下半身の血と気の巡りを改善するツボです。 | |
❺仕上げは三本指を使い、お腹の横から鼠径リンパ節に向かって、図のように流していってください。 |
マッサージの途中、体がポカポカ、リラックスして、自然に勃起していることもあるかもしれません。変に意識せず、体の反応にまかせてOKです。
実践に関しては、下記の注意点を守ってください。
●ツボにはきちんとつながりがあって、単独の刺激や順番通りでない刺激では、十分な効果が得られないので、必ず手順どおりに行なってください。
●食後2時間と飲酒後のマッサージは避けてください。
●ズボンは脱いでください。下着をつけていても裸でもOK。リラックスできる格好で行ってください。
●皮膚に怪我や湿疹があるときは、細菌がリンパを介して広がる恐れがあるので避けてください。
●風俗店などで精力増強を謳ったリンパマッサージを提供しているところもありますが、リンパと血液の流れを整え、体のバランスを整えることを目的として本項のマッサージとは趣旨が違うとご理解ください。ここでご紹介したのは、フランスでリンパドレナージュという理学療法の一貫として取り入れられている、信頼できる方法です。
パートナーと自然な形で、性的コミュニケーションをとることもできる方法として、セックスレスのカップルにもお勧めと言えるでしょう。
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