「肥満」「水太り」は、精巣機能を低下させます

男性編

男性ホルモン分泌をアップする、下半身エクササイズ

●「肥満」「水太り」は、精巣機能を低下させます

前項でご紹介した、「お尻」と「太もも」のチェック法をさらに詳しく解説していきましょう。
足腰が強いのが大切と言いましたが、いくら足腰が強くても、肥満気味で脂肪と水分の多い下半身ではダメ。
そういう男性は、かえって精巣機能が低下している恐れがあります。

また、上半身は気にならなくても、体が冷えることで腎臓の機能が低下し、余計な水分を溜め込むことで「下半身太り」になっていることもあります。
これは、下半身の血流が悪くなった「腎じん虚きょ」の状態。●ページでも触れましたが、東洋医学で言う「腎」には、腎臓を筆頭に、副腎、生殖器といった精子の生産に深くかかわる臓器も含まれていますから、連動して精巣機能が落ちてしまう危険があるのです。

つまり、


●ぽちゃっとして、やわらかく左右に広がったり、垂れたりしているお尻
●ぷるぷるして、上に盛り上がっていない太もも
●お尻や太ももにさわると冷たい


こういった傾向があるなら、それが原因で精子の質が落ちている可能性ありと気をつけたほうがいいということです。

というのも、不妊カップルを対象にした最近の調査で、BMI(BodyMass Index:肥満度を測る体格指数)が高くなるほど、精子の運動率や高速運動精子数が低くなり、また、精巣上体に分泌されて、精子の成熟や運動能力に関わる酵素の値が低いという結果が得られたからです。

これまで、女性の肥満は排卵障害や着床率の低下を招くことはわかっていましたが、どうやら男性についても太りすぎは妊娠の邪魔をするということが判明してきました。

はっきりした原因は特定できませんが、可能性として、「精巣周囲に蓄積された過剰な脂肪によって精巣内の温度が上がると、男性機能が低下する」ということが考えられるでしょう。
その他、肥満をもたらした不規則なライフスタイルや食事が自律神経のバランスを崩し、男性ホルモンの分泌を低下させている可能性もあります。

中でも、食事の影響は大きいでしょう。
男性ホルモンの材料は、食事から摂取する栄養がもとになっています。
晩婚化で、男性が一人暮らしをする期間が長くなると、どうしても外食やコンビ二食に頼ることになりますが、ここで脂分や糖分を摂取しすぎることで、血流が良くなくなってしまい、「冷え」による内臓の働きの低下が引き起こされ、余分な脂肪を蓄えることにつながってしまうのです。

また、そうした食事に含まれる食品添加物も問題です。
食品添加物には、男性ホルモン分泌にとって大切な「亜鉛」の吸収を阻害する成分が含まれるものがあります。
「亜鉛欠乏」による男性ホルモンの分泌低下が、男性不妊の遠因になっている可能性は、現代においてかなり高いと言えるでしょう。
ご結婚後は、その点に配慮して、パートナーに食事メニューのリクエストをしてみると良いかもしれません。


まずは、下記のBMI値の計算式にてご自身の肥満程度を知り、運動と食事のセットで、適正体重を目指してみてください。

「BMI」計算式

肥満度:BMI(Body Mass Index ボディマス指数)
BMI=体重kg/(身長m)²

(注)身長はメートル単位で計算してください。身長160cmなら1.6メートルです。


例を見てみましょう

「BMI」計算式の例

身長が160cm、体重が50kg の場合、
BMI=50÷(1.6)²= 19.53 になります。


日本人男性の場合、このBMI指数が21~24の範囲が理想とされています。
25を超えると肥満レベルに入っていきますから、該当する方は改善の努力を始めてください。
ちなみに、この基準で太りすぎと判定された場合には、糖尿病などの生活習慣病になる危険性が高いとも言われています。
EDでお悩みの方も、体重管理が必要と言えるでしょう。

ただし、ダイエットも急激に痩せるのは逆効果です。
体力が落ちるのはもちろん、自律神経のバランスが崩れますし、何よりリバウンドの危険が高まります。
健康的にダイエットするために、一ヶ月に痩せてよい目安は体重の5%までと言われています。
結果を焦らず、徐々に体質改善をしていくようにしましょう。


先生の豆知識コラム

川上智史

北里大学院医療系研究科医学
専攻博士過程修了医学博士

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