男性ホルモン「テストステロン」は、性衝動や生殖機能以外に、骨格や筋肉の発達にも大きな影響を及ぼし、いわゆる「男らしい体」をつくりあげる原動力となっています。
その一方で、筋肉を鍛えることによって、テストステロンの産出量と分泌量がアップ上がるという側面もあり、運動と男性ホルモンの関係は切り離せません。
わかりやすいように、これを図式化すると、
運動をして筋肉を働かせる
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筋肉の細胞の一部と男性ホルモン「テストステロン」が結びつき、筋肉量が増加
↓
男性ホルモン「テストステロン」が消費され減少
↓
脳から精巣や副腎に対して、男性ホルモン「テストステロン」増産命令が発動
↓
生殖機能のアップにつながる
となるわけです。
逆から言えば、運動不足に陥ることによって、テストステロンの産生・分泌量が低下し、それによって生殖機能が衰え、「男性不妊」につながっていくリスクがあると理解できるでしょう。
仕事で忙しくて体を動かす時間がない、帰宅したらクタクタで運動どころではない、という男性も多いかもしれませんが、むしろ仕事でストレスを溜めている人ほど、適度な運動を習慣にすることをお勧めします。
なぜなら、過度のストレスがかかると脳の中の理性や思考を司る「大脳新皮質」がフル稼働することになり、もう一方の本能の脳である「大脳辺縁系」の活動が抑制されてしまうからです。
男性ホルモンは、この「大脳辺縁系」からの指令で分泌されています。
そのため、過度のストレスにさらされると、テストステロンの分泌量が減少し、男性機能が低下してしまうのです。
ストレスによって影響を受けるのは、脳の活動ばかりではありません。
体の状態も変化します。ストレスを感じることによって、副腎皮質からアドレナリンやノルアドレナリンが大量に分泌されると、末梢血管が収縮して血圧が上がり、筋肉が緊張・硬直していきます。
もちろん、必要なときに、こうした変化が起こるのは好ましいのですが、常にストレスを感じて血圧の上昇と筋肉の緊張が続くと、全身の血流が悪化するのが問題です。
繰り返しになりますが、血流の悪化はあらゆる臓器の機能低下を招き、ホルモン分泌も質のいい精子をつくる能力も、勃起する力も弱くなっていきます。
もちろん、生活習慣病のリスクだって高まりますから、何とか改善策を取らなければなりません。
ストレス解消には気分転換といったメンタルなケアも大切ですが、もっとも手っ取り早いのは、体を動かすことです。
運動することによって血行不良が解消し、さまざまな臓器が正常に動くようになってテストステロンの分泌が回復すれば、脳のバランスが回復されてストレスが緩和されますし、男性機能も向上していきます。
テストステロンが活発に分泌されることで、生き生き溌剌としてくるのです。
5章で男性機能アップのための食生活について詳しくご紹介していますが、これとて、きちんと体内の機能が働いていないことには、効果的に吸収・活用されません。その意味でも、「男性不妊」改善の最初の取っ掛かかりは運動にあり、と言えるでしょう。
事項から、時間も場所もとらずにできる簡単エクササイズを3つご紹介しますので、是非、今日からでもチャレンジしてみてください。
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