前項で、勃起とは「ペニスとその周辺の動脈が緩み、血管が拡張した海綿体組織に血液が一気に流れ込む」、いわばペニスの充血状態だとご説明しました。
これを逆に言うと、何らかの原因でペニス内の血流が悪くなり、十分に血液が行き渡らなくなった場合、EDになる可能性があるということです。
ペニスに血流障害が表れるということは、おそらく全身の血の巡りが悪くなり始めていると考えられます。
というのも、ペニスの末梢血管は非常に細かくてデリケートなため、その兆候がもっとも早く現れるからです。
血流障害は、すべての「生活習慣病」に共通する症状で、高血圧、糖尿病、高脂血症、脳梗塞、心筋梗塞など、すべて血管が硬化し、血液の流れが悪くなっていることは共通しています。
その意味でEDも「生活習慣病」の一つと言えなくもありません。
正常(型) | 110mg/dl未満 |
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境界(型) | 110〜125mg/dl未満 |
糖尿病(型) | 126mg/dl以上 |
このように、空腹時血糖値が126mg / dl以上以上であることのほかに、
●75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が200㎎/ dl以上
●随時血糖値200㎎/ dl以上
という診断基準もあり、いずれかを数日に渡って二回以上確認されたものを糖尿病と診断するのです。
いわゆる境界型にいる糖尿病予備軍も含めると、1500万人もの人が正常とは言えない血糖値にあると考えられています。
ファーストフードやコンビ二食が溢れる現代では、20代半ば位でも十分に糖尿病予備軍になってしまう可能性があるので、「若いから大丈夫」と高を括ってはいられません。
糖尿病になると、本来の症状はもちろん、合併症を起こすのが最も怖いことです。
①糖尿病性腎症(人工透析が必要となることも)
②糖尿病性網膜症(最悪の場合は失明)
③糖尿病性末梢神経障害
これが、糖尿病の三大合併症と言われていますが、①と③は勃起能力の低下とつながります
まず、①糖尿病性腎症。東洋医学では、性機能が減退していることを、「腎じん虚きょ」と言います。
「腎」には、は腎臓、副腎、膀胱、生殖器が含まれていて、腎臓と生殖器はつながっていると考えています。
腎臓は環境ホルモンを解毒するなど血液を浄化する機能を担っており、ここの働きが低下すると精力減退・勃起不全といった症状が起こってくるというわけです。
③糖尿病性末梢神経障害では、外陰部の神経症状が現れます。
さらに、糖尿病の兆候としてペニスへの血流障害も出てくるわけですから、そうなるとEDへと発展していくのは避けられないのです。
糖尿病は、初期の自覚症状がわかりにくい上、一度なってしまうと一生付き合っていかなければならない病気でもあるので、妊娠を望むような若い世代であればなおさら、できるだけ早くその兆候に気づくことが大切です。
そのためには、勃起しにくい状態を「ストレスが溜まっているだけだ」と決め付けないようにしましょう。
糖尿病は、急に引き起こされるものではなく、食生活の乱れや不規則な生活を続けることによって、徐々に体を蝕んでいくもの。
年に一度の定期検診を欠かさず、血糖値をしっかり把握し、境界型にある人は食事・運動面など生活の見直しから体質改善を心がけてください。
心がけ次第で予防できるのが、「糖尿病」なのですから。
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