タバコやお酒の飲みすぎが体に良くないということはわかっていますが、なぜ体に良くないのかという「理由」が明確にわかっている人は少ないかもしれません。
まず、タバコ。タバコに含まれるニコチンには、自律神経のうち交感神経を緊張させる作用があります。この働きにより、血管が収縮し、血流を阻害
することが体の冷えにつながるわけです。喫煙習慣のある女性は、「冷え性」の自覚症状はなくても、体温を測ると平熱が低い傾向があるはずです。
さらに、喫煙により数千種類にも及ぶ有害物質が体内に取り込まれることによって、「活性酸素」が大量生産されることも問題と言えます。活性酸素
が増えることで、体の細胞は「酸化」を始めます。これは、鉄が酸化するとサビるのと同じように、体もサビていくということ。当然、細胞でできている卵巣や子宮の細胞も傷つけられ、老化してしまいます。このような状態では、妊娠を望める質の良い卵子が出来にくくなってしまうでしょう。
「酸化」抑制するには、ビタミンCが有効に働きますが、タバコに含まれるニコチンは、ビタミンCを壊してしまうことも問題です。
人間が1日に摂取できるビタミンCの量は50㎎までと決まっており、それ以上摂取しても体外に排出されてしまうのですが、タバコを1本吸うとなんと25㎎のビタミンCが破壊されてしまいます。つまり、1日にタバコを2本吸うだけで、実質ビタミンCの摂取量は0になってしまうわけです。
「本数を減らせばいい」というのは甘い考えで、すっぱりやめない限り、冷え性も老化も止めることができないでしょう。
あなた自身ばかりでなく、パートナーからの受動喫煙も問題です。
赤ちゃんを望むなら、是非ご夫婦での禁煙をお勧めします。
ちなみに、喫煙習慣のある男性の場合、精子数の減少や運動率の低下といった症状が見られるというデータもあり、男性不妊につながる危険があることをきちんとお伝えすると良いでしょう。
次に、アルコール。「お酒は百薬の長」と言われるように、適度な飲酒は血行を促進し、体を温める効果があります。ですが、これもお酒の種類や飲
み方によりますし、過度な飲酒は血管に負荷をかけてしまうのでやはり体を冷すと覚えておいてください。
お風呂上りや暑い日のビールはおいしいものですが、やはりキンキンに冷えた飲み物なので体を冷します。酔って体が火照ったように感じるかもしれ
ませんが、それは体の表面だけのこと。内臓は冷えているのです。
また、お酒を飲むとトイレが近くなりますが、アルコールの利尿作用による頻回の排尿は、体から熱を奪う結果となります。(寒い冬、おしっこをし
た後、ぶるっと体が震える体験をしたことのある方もいるでしょう)
お酒でお勧めできるのは、熱燗にした日本酒や赤ワインです。日本古来からの知恵にある風邪を引いたときの「玉子酒」、欧米の冷え対策としてポピュラーな飲み物「ホットワイン」などを、一合ないしグラスに1杯程度なら、血行を促進し、体と心をリラックスさせる効果が期待できるでしょう。
最後にカフェインですが、これは前項の表に当てはめるなら「陰性の食材」です。微量ならかまいませんが、大量に含有している緑茶、コーヒーなどは体を冷す飲み物なので、冷え性の人は1日1杯程度に抑えたほうが良いでしょう。
体にカフェインが入ると、交感神経が優位になり、喫煙した時と同じように血流を阻害し「冷え」を招きます。さらに、過剰摂取することで、眠りが浅くなるなどすると、これまた自律神経のバランスを崩し、排卵リズムを乱すことにつながりかねません。
コーヒーや紅茶といった嗜好品は、なかなかやめることが難しいかもしれませんが、どうしても飲みたいなら、ノンカフェインのものを選ぶか、しょ
うが紅茶をお勧めします。(章末のレシピ参照)
カフェインを含む飲み物の中では、赤い色をした紅茶は、コーヒーや緑茶よりも体を冷す作用が低いと言えます。カフェインの量だけ見れば、コーヒーの2倍近く含まれるのですが、アミノ酸の一種テアニンがカフェインの作用を抑制するうえ、体の中に取り込まれるときもお湯の中でタンニンと結合するため、コーヒーにくらべると穏やかに作用するのが特徴です。
低・ノンカフェインのお茶には、たんぽぽコーヒー、ほうじ茶、番茶、麦茶があります。めでたく赤ちゃんに恵まれ、母乳育児をしようと思ったら、やはりカフェインは望ましくありません。今から、赤ちゃんのためにあなたの嗜好を変えておくことも、お母さんになる準備と言えるのではないでしょうか。
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