性をめぐる、男と女の差を理解し合いましょう

男性編

「子づくり」にこだわらないセックスのすすめ

●性をめぐる、男と女の差を理解し合いましょう

男と女は「異性」ですから、肉体構造・精神構造のあらゆる面が異なります。
多くの人は、理屈ではそうとわかっているのですが、具体的な「違い」について理解しようと、積極的に学ぶ機会を持つことは少ないかもしれませ ん。これは、日本の性教育の遅れが影響しているというのもあるでしょう。

ただ、医学者の立場からすると、夫婦間で「相手のことがわからない」と嘆くのは、異性の体や心のメカニズムをよく理解していないことが原因となっているケースも多いように感じます。
個人差や置かれている環境・体調・心の状態による差はもちろんありますが、「男ってこんなもの」「女ってこんなもの」ということがわかっていれば、不要な悩みを抱えずに「そういうことなら仕方ない」と、もっと理解を示したり、歩み寄ったりすることが可能になるケースも多々あります。

「望んでいるのに、赤ちゃんがなかなか授からない」という、夫婦にとってある意味「危機的」な状況に陥っているときは、男女の性差が如実に現れてくる時とも言えます。
その性差を理解できず、すれ違ってしまうカップルの何と多いことでしょう。
でも、ご夫婦が手を取り合って協力することなしに、赤ちゃんを授かることは難しいと言わざるを得ません。
是非、この項をパートナーと一緒に跳んで、少しでも相手の「性」について知識を得て、相手を理解し受け入れる助けとして下さい。

まず、子どもをつくる「セックス」という行為に対する考え方、臨み方には、男性と女性で根本的な違いがあります。

人間も動物の一種と考えたとき、種の保存のために、男性は女性に精子を提供することこそ、最大の役割であり、義務であるというふうに言うことができます。
男性もどこかでそれを自覚しているはずです。
ところが、その能力が弱いということになると、男はかなりの自信喪失に陥ります。
潜在意識の中で「男として失格」と烙印を押されたように感じてしまうのでしょう。
精液検査を拒むのも、自分の男としての能力を数値化されてしまうのを怖れるからなのです。

また、男性はセックスを通じて、女性に肉体的、精神的に満足を与えることで、雄としての自身を得ます。
そうしたセックスの結果、妊娠に至るプロセスこそ重要なのです。
ですから、必要だとはわかっていても、検査や不妊治療のために、機械的に精子を取り出すことには、本能的に抵抗感を抱いてしまうのでしょう。

パートナーが、こうした男のプライドや心理を、「つまらないことにこだわって」「赤ちゃんを持つためなんだから協力して」と一蹴してしまうと、二人の間に大きな溝ができてしまいます。
何もパートナーを困らせようとして、非協力的になっているわけではないのです。
愛情の度合いとはまったく別次元のことだと、まず理解してあげてください。
男性としての潜在意識、もっと言ってしまえば雄としての本能によって、このような反応が生まれてくることを、女性には知っておいて欲しいと思います。

一方の女性についても、男性がもっと理解を深めなければならない部分があります。
女性は、何か問題に直面したとき、「話し合い」によってより良い道を選択していきたいと考えます。
ところが、プライドを傷つけられた男性はそんな余裕がなく、自分の殻に閉じこもりがち。
こうなると、女性は苛 立ちと焦りを募らせます。

というのも、動物としての女性にも、子孫を残したいという本能があり、それに年齢的なリミットがあることを知っているからです。
しかも、実際にするかどうかは別として、相手を選ばずにばらまこうと思えば、いくらでもばらまける精子と違って、遺伝子を残すために使える卵子は、一か月につきたったの1個。
さらに、いったん受精して妊娠が成立すれば、次は少なくともその先1年間は妊娠することは不可能となります。
女性にとって、1回の排卵にかける想いが強くなるのは当然の心理と理解できるでしょう。

その想いの強さは、妊娠に対するものばかりではありません。
物理的に妊娠できる回数が限られるからこそ、相手選びにも慎重になるのが女性の本能です。
その結果、信頼し、愛する異性として選ばれたのが、パートナーであるあなたなのです。
女性は、あなたの子どもだから、妊娠したいと強く願っているのだと、理解してください。

こう考えてくると、根本のところでは、お互いに対する深い愛情があるからこそ、現在、ご夫婦になっているということがおわかりになるでしょう。
なのに、「不妊」という事態をめぐってすれ違いが起こるのは、どちらにとっても本望ではないはずです。

人間は他の動物と違って、子孫を残すためだけにセックスするわけではありません。
お互いの肌のぬくもりを感じ、心も体も満足して、絆を深め合うというコミュニケーションとしての性行為という一面もあります。

「今度こそ、赤ちゃんができますように」と力まず、「赤ちゃんができるまでは、夫婦二人で楽しもう」くらいの気持ちで、リラックスしてセックスに臨むほうが、実は不妊改善にも有効です。

リラックスすることで、男性は勃起力が高まりますし、女性はオルガスムスを感じやすくなります。
女性は深くオルガスムスを感じることで、より子宮の奥深くへ精子を取り込もうとする力が働くようになり、妊娠の確率が高まる可能性があるからです。

さらに、毎回セックスで気持ちよさを味わえるとなれば、自然とお互いを求める回数も増えていくはず。
セックスの頻度が増えることで、妊娠確率がアップするというデータは前項でもご紹介済みです。

「赤ちゃんがなかなか出来ない」という不安はかなり大きなもので、そのプレッシャーやストレスもよくわかります。
しかし、不安を感じながら相手に接することで、夫婦それぞれの気持ちにズレが生じる事態だけは、絶対に避けなくてはなりません。

「言わなくてもわかるだろう」という態度は禁物です。こういう時だからこそ、わざわざ口に出して語ることで、相手の誤解を未然に防ぐと同時に、ご自身の想いも再確認できるでしょう。
異性への深い理解と、思いやり……
不妊を乗り越えていくためには、この2つが不可欠なのです。


先生の豆知識コラム

川上智史

北里大学院医療系研究科医学
専攻博士過程修了医学博士

子宝レシピ

不妊治療に効果のある様々なレシピをご紹介!

効果のあるもの

不妊治療に効果のあるアロマや漢方、ヨガなどをご紹介!

にほんブログ村 赤ちゃん待ちブログ 妊活へ
にほんブログ村

Copyright © 2015 妊活ノート All rights reserved.