悪玉も善玉も「コレステロール」が必要な理由

女性編

「妊娠力」をアップするこんな食べ方

●悪玉も善玉も「コレステロール」が必要な理由

 「コレステロール」に、あなたはどんなイメージを抱いているでしょうか?
「コレステロール値が高いと生活習慣病になりやすい」「メタボの要因」というように、健康には悪いというイメージを思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。

確かに、コレステロール値が必要以上に高すぎては、動脈硬化や心筋梗塞などの引き金になる可能性があります。しかし、コレステロール値が低すぎても、健康には良い影響を与えないということを知っておいてください。

特に、これから妊娠を望む女性の場合、コレステロールはもっと大切に扱わなければいけません。というのも、コレステロールは女性ホルモンの原料となり、子宮や卵巣の細胞膜の大切な構成要素でもあるからです。つまり、女性の場合、コレステロール値が低すぎると、月経不順や排卵障害を起こしたり、子宮のふかふかベッドをつくれなくなったりと、赤ちゃんを迎えるのに望ましくない体となってしまうのです。

コレステロールには、「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール」がありますが、性ホルモンの原料となっているのは、実は「悪玉」のほう。
体にとっては、「悪玉」も「善玉」もなく、どちらも必要なものなのですが、「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが増えると、生活習慣病の引き金となることから、そのような不名誉な名前が付いてしまったというわけです。

ちなみに、ストレスがある場合、体を守るために抗ストレスホルモンがつくられますが、これにもコレステロールが使われます。
赤ちゃんがなかなかできないと悩んでいる女性は、もしかしたらストレスから「低コレステロール」状態となり、そのせいで女性ホルモンのバランスも崩れて、不妊になっている……という可能性も考えられるのです。

悪玉コレステロールを増やす食品には、豚や牛の脂身やバターがありますが、これらも毛嫌いせず適度に食べ、イワシ、サバ、マグロなどの魚類やオリーブ油、なたね油などに含まれる良質な脂肪分を摂っていくことが、コレステロールのバランスを良くする秘訣と言えるでしょう。
ただし、生活習慣病の恐れもあるので摂り過ぎには十分注意してください。

さて、脂肪分の中でも「トランス脂肪酸」だけは、なるべく避けるように気をつけてください。
これは、マーガリンやスナック菓子、ファーストフードに使われるショートニングなど自然由来でない人工的な油で、一度人間の体の中に入ると、二度と分解されず、排出されにくい脂肪となります。

そればかりでなく、善玉コレステロールを減らし、女性ホルモンであるエストロゲンを増加させる作用があるので、健康を害したり、ホルモンバランスが崩れたりする恐れもあります。

  トーストにはバターかオリーブ油、お菓子はなるべく手作りで。そんな小さな食生活の改善が、妊娠しやすい体づくりにつながっていくのです。


先生の豆知識コラム

川上智史

北里大学院医療系研究科医学
専攻博士過程修了医学博士

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