ママになるために積極的に摂りたい5つの栄養素

女性編

「妊娠力」をアップするこんな食べ方

●ママになるために積極的に摂りたい5つの栄養素

(1)子宮をふかふかベッドにする「たんぱく質」

三大栄養素の一つでもある「たんぱく質」。妊娠を望む女性ばかりでなく、私たち人間にとって非常に大切な栄養素でもあります。というのも、たんぱく質は皮膚や髪の毛、爪といった目に見える部分から、骨や血管、内臓という体の内部の構造にいたるまで、すべてをつくっている「原料」だからです。

これから赤ちゃんという新しい生命体をつくるあなたの体にとって、たんぱく質は欠かせない栄養素と言えるでしょう。赤ちゃんを育てる「子宮」というベッドも、良質なたんぱく質を摂ることで、ふかふかの居心地の良い場所になるのです。

何よりも、十分な量を摂ることを心がけましょう。
体重1kgあたり1日1~1.5gのたんぱく質を摂るのを目安としてください。
体重50kgなら50~75gの計算です。
生卵1個で約6.5gのたんぱく質が含まれますから、これを1日2個食べて、あとは豚・牛のモモ・ヒレなどの赤身の肉や魚、豆腐や豆といった食品から摂るような献立を考えてみてください。

チーズなどの乳製品やかつお節やしらす干しなどにも豊富なので、メニューにこうした食材をトッピングしてみるのも、手軽にとる工夫です。

また、[妊娠力アップに欠かせない1 日2 個の卵]でも触れましたが、たんぱく質は「植物性+動物性」のセットで摂ると、単独で摂るよりも有効利用されやすくなります。

●納豆+生卵
●豆腐+かつお節
●豆腐+肉味噌
●ゴーヤチャンプルー

など、いろいろ組み合わせを工夫して子宝メニューを食卓に載せてみてくださいね。

(2)受精卵をキャッチしやすいクッションをつくる「鉄」

赤ちゃんを望む女性にとって、たんぱく質の次に重要となる栄養素が「鉄分」です。女性の3~4割は「貧血」と言われるくらい、不足しやすい栄養素なので、意識的に摂る必要があります。

妊娠との関連で言うと、粘膜の材料となる鉄は、子宮の中でクッションのような役目を果たしてくれるもの。鉄が十分にとれている女性の体の子宮は、ふかふかベッドになり、受精卵をキャッチしやすくなるのです。また、妊娠すれば、胎盤をつくる材料ともなりますから、赤ちゃんを望むなら今から不足しないような食生活に改善していくのが望ましいでしょう。

では、具体的にどれくらいの量をとればいいのかと言うと、1日に2mgが目安です。
ただ、[「冷え」の解消には、良質な「鉄分」を補給しましょう]でも触れたように、鉄には植物由来の「非ヘム鉄」と動物由来の「ヘム鉄」があり、非ヘム鉄だけをとっても吸収率が悪いとされています。
具体的な数字で吸収率を見ると、ヘム鉄が10~20%、非ヘム鉄が1~6%と、ヘム鉄のほうが10倍近くも吸収されやすいのです。ただし、ヘム鉄は吸収性に優れる代わりに、一つの食材の中で含有量が高くないというデメリットもあります。

日本人の食生活からすると、野菜や海草に含まれる非ヘム鉄のほうが摂りやすい環境にあるかもしれません。また、動物性鉄分の代表格と言えるレバーは苦手な人も多いでしょう。そのような場合は、「非ヘム鉄」であっても、吸収率を上げるビタミンCやたんぱく質と一緒に摂る工夫をすると良いでしょう。

ほうれん草や小松菜のおひたしに鉄分豊富な煮干を混ぜて、たんぱく源としてかつおぶしを振る、鉄分含有食材のあさりの酒蒸しにレモンの皮を刻んで入れる、ひじき・小松菜など鉄分たっぷり食材を使ったちらし寿司に錦糸玉子を添える……など、手に入りやすい、食べやすい食材を組み合わせれば、負担が少なく実践できます。

また、貧血傾向の強い人や自然食材から必要量を摂るのが難しい人は、サプリメントの力を借りるのも一つの方法です。その際は、ヘム鉄由来のもの、そして効率よく吸収されるようにビタミンC含有のものを選ぶと良いでしょう。多少、胃腸が荒れるなどの副作用が出る場合もあるので、心配な方は事前に軽く何かお腹に入れておく、それでも心配な場合は医師や薬剤師に相談してみてください。

(3)お腹の赤ちゃんを健康に育てる「亜鉛」

亜鉛は、ミネラルの一種で、体の中で酵素と結びついて、体内のさまざまな働きをスムーズに運ぶ役割を担っています。
細胞を酸化から守る点については[卵子の老化をケアする、母体のアンチエイジング食とは]で解説したとおりですが、妊娠との関連で言うと、鉄と同じように、粘膜をつくる材料となり、受精卵をキャッチしやすい子宮環境を整えるのに欠かせません。

さらに、亜鉛は別名「セックスミネラル」と呼ばれるほど、生殖機能の向上に不可欠の栄養素でもあります。女性にとっては、亜鉛が充足することで、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンが、より強く作用すると言われますし、卵子そのものにも、亜鉛は豊富に含まれています。

一方の男性は、亜鉛不足が精力低下や勃起不全を引き起こすと言われます。というのも、亜鉛には精子をつくる能力を高める働きがあるからです。

赤ちゃんを望むなら、夫婦二人で「亜鉛」不足にならない食生活を送るのが理想と言えるでしょう。

ただ、これだけ重要な成分であるにもかかわらず、未精製のでんぷん質(玄米や全粒粉)や新鮮な野菜・海藻類を食べることが少なくなった現代では、普通の食事をしているだけでは、どうしても不足しがちになります。

サプリメントの力を借りる手もありますが、体の中でどのように分解・吸収されるか明確でないため過剰症の心配もあります。なるべくなら、サプリメントよりも食事から摂るよう心がけてくださいね。

また、アルコールをよく飲む人、強いストレス受けている人、激しいスポーツをして多量の汗をかく人も、亜鉛の必要量が増加するため、亜鉛不足に陥る傾向があるので、注意が必要です。

成人の場合、1日あたりの推奨摂取量は15㎎とされていますが、女性の平均摂取量はその半分の7.3ミリグラムと言われます。あと半分を、これからの食生活で意識的に補うようにしていきましょう。

亜鉛を多く含む食品は、牡蠣に代表される貝類やスルメ、イイダコ、牛肉です。植物性よりも動物性のほうが吸収率が良いですが、なかなか大量に摂るのは難しいかもしれません。白米に玄米や胚芽米を混ぜたりするなど、毎日の食卓の中で亜鉛の摂取量を増やす努力をしてみてください。小さな努力が、続けることで大きな差となります。

亜鉛は、妊娠時にも欠かせない栄養です。胎児の細胞分裂を促す働きをしますから、お母さんの体に欠乏していると、低体重の原因となりかねません。また、粘膜をつくる材料にもなると言いましたが、亜鉛不足は赤ちゃんの皮膚を弱くし、出産後のアトピー性皮膚炎の原因となる可能性もあります。

あなたの大切な未来の赤ちゃんのためにも、今からしっかり亜鉛をとる食生活にシフトしていきましょう。

(4)赤ちゃんを望む女性の必須栄養素「葉酸」

「葉酸」はビタミンB群の仲間で、妊娠を望む女性は是非摂取したい栄養素です。というのも、葉酸には赤ちゃんの脳の発育を助けたり、神経をつくる働きがあるからです。

あなたは、赤ちゃんの脳がいつ作られるかご存知ですか?

赤ちゃんの脳は、妊娠6週目までにその神経系統がほぼ出来上がってしまうのです。胎児が人間らしい姿になるずっと以前に、もう脳はほぼ完成しているなんて、不思議ですね。

妊娠6週目と言えば、「ちょっと生理が遅れているかな」と思うような、まだ妊娠に気づいていない人も多い時期。ですから、妊娠前から「葉酸不足」にならないように、お母さんの体の中で準備しておく必要があるのです。

厚生労働省では、妊娠を望む女性に1日0.4㎎の葉酸を摂ることを推奨しています。葉酸を上手に摂取するポイントはビタミンB12とセットで摂ること。これにより、葉酸の働きが高まるのです。

ただし、過剰摂取の弊害も気をつけなければなりません。自身が発熱やじんましんなどを起こしたり、生まれた子どもがぜんそくになったりする可能性があります。

普段の食事から取りにくいからと、サプリメントの利用を考える方もいるかもしれませんが、独立行政法人国立健康・栄養研究所によると、食事以外に1日1㎎を超えないよう注意すべきとの通告が出されています。

確かに、サプリメントは特定の成分を濃縮してあり、体内でも効率に働くものとして、上手に利用すれば心強いパートナーとなります。ただ、妊娠・出産を控えた大事な時期に安全性を考えるなら、できるだけ普段の食材から摂ることを基本に考えたほうが良いでしょう。

もし普段の食事だけでは難しい場合は、葉酸含有量表示のあるシリアルなどの加工食品から摂取するか、医師や管理栄養士に適切な摂取量と摂取時期の相談をして利用することをお勧めします。

葉酸を多く含む食品は、下記を参考にしてください。

野菜類ブロッコリー、ほうれん草、春菊、菜の花、アスパラガス、パセリ、モロヘイヤ
豆類えだ豆、そら豆、大豆、納豆
海草類焼きのり、岩のり、青のり、こんぶ
肉類鶏レバー、牛レバー
その他小麦胚芽、卵黄、干しいたけ

中でも、レバーやのり類は、B12も多く含むので、お勧めの食品です。その他、しじみやあさりなどの貝類にビタミンB12が豊富なので、味噌汁の具などで摂取を心がけてみてください。

(5)卵巣、卵子がよろこぶ妊娠ビタミン「ビタミンE」

最近は、アンチエイジング効果が高いとして化粧品にも配合されている「ビタミンE」。これは、ビタミンEに抗酸化作用があるからです。P56でも触れたように、酸化とは体のサビであり、イコール老化となります。

年齢を経れば、誰でも老化は避けられませんが、それをなだらかにするためにもビタミンEの力を借りて、卵子のアンチエイジングをはかりましょう。

また、ビタミンEには、そのものズバリ「抗不妊作用」があるとされています。
これは、1922年にラットの実験で明らかになったもので、さまざまなものを食べさせて、不妊になったラットが妊娠するかどうかを調べる過程で、ビタミンEの働きが明らかになったのです。

人間の女性に対しては、排卵の促進や卵巣重量の増加、ホルモン調節作用などのあることがわかっています。女性の持つ妊娠機能を高めてくれる、赤ちゃんを望むカップルには嬉しいビタミンと言えるでしょう。

また、ビタミンEには血流をアップする効果もありますので、「冷え」の改善のためにも、積極的に摂りたい栄養素です。乳腺の血流も良くしてくれますから、母乳育児を望むのであれば、今から体の準備を進めておきたいですね。

ビタミンEを多く含む食品としては、ナッツ類が挙げられます。アーモンドやヘーゼルナッツ、落花生など、おやつ代わりに食べてみてはいかがでしょうか。
その他、アボカドや西洋かぼちゃ、うなぎの蒲焼などにも多く含まれます。ただ、これらは脂質の多い高カロリー食材なため、食べ過ぎるとニキビなど肌トラブルの原因になってしまうこともあります。ほどほどを守りましょう。

どんな食材でもそうですが、「●●にいい!」からと言ってそればかり食べるのでは駄目。どんな食材もバランスよく、栄養が一つに偏らないようにするのが、健康で妊娠しやすい体をつくる秘訣と言えます。
ちなみにアボカドは、ベストセラーになった『世界一の美女になるダイエット』で、ミス・ユニバースジャパンの公式栄養コンサルタントであるエリカ・アンギャルが。
アンチエイジングのために食べたいナンバーワン食材として挙げていました。

外見ばかりでなく、内側から美しくなるためにもお勧めの食材だということですね。世界一の美女たちも、栄養を通じてアンチエイジングを実践していたと知れば、ちょっと興味が湧いてきませんか?


先生の豆知識コラム

川上智史

北里大学院医療系研究科医学
専攻博士過程修了医学博士

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