妊娠を望むなら、こんなライフスタイルは改善しましょう

女性編

妊娠できる「体の準備」が整っていますか?

●妊娠を望むなら、こんなライフスタイルは改善しましょう

ここまで、妊娠についての医学的な気がかりの有無についてのチェック法をご紹介してきました。
しかし、その中でこれといった不妊原因は見つからないのに、なかなか妊娠しないという方も大勢いらっしゃるでしょう。むしろ、そこを悩んでいるからこそ、本書を手に取られた方のほうが多いかもしれません。

そういう人は、毎日の生活習慣を見直してみましょう。
不規則な生活、偏食、運動不足、ストレス……そんなものが体に良くないことは誰しもわかっているのに、なかなか改善することが難しかったりします。

しかし、そうした望ましくないライフスタイルがあなたの基本的な「生命力」を低下させ、結果として不妊を招いているとしたら、そのままでいいとは思わないでしょう。
特に、東洋医学で、現代人の体の不調の原因として問題視しているのが「冷え」です。「冷え」は免疫機能を弱め、それにより体全体の機能低下を起こさせます。ことに、女性の場合、「冷え」が続くことでホルモンバランスを崩し、子宮や卵巣の生殖機能を衰えさせてしまうので、絶対に避けなければなりません。

とはいえ、「冷え」は自覚するのはなかなか難しいもの。
寒さによって、急に手先が冷たくなったのならともかく、日常的に積み重なった慢性の「冷え」には気づかず、それが原因の不調に気づかないことすらあります。

「冷え」については2章で詳しく触れていきますが、一つの目安として、平熱が「36.4℃以下」なら、「冷え性」だと判断してください。もし、当てはまるようなら、今日からでも下記の生活習慣を改善していきましょう。

改善ポイント1シャワーで済まさず、お風呂に入る

夏は暑いからシャワーで十分。そう思ってはいませんか?
入浴は、体温を上昇させ全身の血流をアップさせるばかりでなく、汗をかくことによるデトックス(有害物排出)も行なえる手軽ですぐれた健康法です。
エアコンで冷える夏こそ、一日一回、しっかりお風呂に浸かって、体を温めましょう。
便や尿だけでは排出できない、無意識に体内に取り込んでしまう食品添加物やその他有害化学物質などの排出も促進しす。

改善ポイント2足元、首元、手元を冷やさない

冬の寒いとき、靴下を2枚履きにしたり、マフラーをしたり、手袋をしたりしますが、これは人間が無意識にしている冷やさない知恵と言えます。
体を温めるには、家の中でも裸足で過ごさない、クーラーの聴いた部屋では一枚羽織る物を準備するなどを心がけましょう。
毎日の小さな積み重ねが、平熱の差となって現れます。

改善ポイント3夜11時以降は飲食しない

寝る前に多く食べてしまうと最初は副交感神経優位となりますが、その後交感神経が活性化してしまうことがあります。
これは就寝前には望ましくない状況です。
本来、交感神経は活発に働く昼間に優位になるべき神経。
就寝前に交感神経優位になると、寝つきが悪くなり、睡眠の質が低下します。
自律神経の乱れと寝不足は低体温の原因となるので、夕食はなるべく夜9時頃までに済ませましょう。

改善ポイント4生野菜は控える

旬の食材を食べること。それが一番の健康法だと東洋医学では考えます。
しかし、現代は季節感がなくなり、レタス・きゅうり・トマトなど体を冷やす夏野菜が冬でも食べられる環境にあります。
サラダは健康やダイエットに良いと思って、生野菜ばかり食べていると、結果的に体温を下げることになるので注意が必要です。
生野菜がダメというのではありませんが、「冷え性」の人はなるべく量を減らしすほうが望ましいでしょう。

改善ポイント5水分、糖分の摂りすぎには注意

水分をたくさん摂ると、血液をサラサラにして健康にいいという考え方がありますが、東洋医学では水分の摂りすぎも「水毒」と言って、体の不調を招く原因とされています。
新陳代謝の能力を超える水分を体にため込みすぎると、熱を奪うことになり「冷え」を招くのです。
特に、冷たい飲み物は厳禁。消化器を直接冷やすことで、下半身を冷やしてしまいます。
水分を摂るなら、常温以上で、糖分の含まれないものにしましょう。

糖分については「白砂糖」を避けることです。
「白い食材」は体を冷やすと言われますが、白砂糖はその代表選手。白砂糖は体内で分解・吸収されるときに熱を奪うため、甘いものが欲しいなら、黒糖を使ったお菓子や飲み物を選ぶようにしましょう。

改善ポイント612時前就寝、6時間以上睡眠を心がける

人間は睡眠によってホルモンバランスを整えると同時に、肉体と神経の疲労を回復させます。
赤ちゃんを授かりたいなら、睡眠の質を向上させることは必須条件と言えるでしょう。
ぐっすり眠ることで、自律神経のバランスが整えば、体温調節がうまくいくと同時に、ホルモン分泌も整うのです。

睡眠のゴールデンタイムは「夜10時~夜中の2時」と言われています。
この時間帯に熟睡していることで、ホルモン分泌が活発になるため、遅くとも夜中の12時には熟睡体勢に入っているようにしたいものです。

また、必要な睡眠時間には個人差がありますが、熟睡したと満足するためには、6時間以下の睡眠は避けたほうが良いでしょう。

改善ポイント71日に合計30分以上歩く

体を芯から温めるには、運動が不可欠です。
子宮や卵巣といった生殖器は体表から遠い体の奥にあるため、外から温めるのには限界があります。
運動によって発する「熱」を利用することで、しっかり体の芯から温めましょう。

また体を動かすことで血液の流れが良くなることも、卵巣機能をアップし、子宮内膜の環境を整えます。
妊娠しやすい体づくりのためには、特に下半身を中心に、足腰を使った運動が最適でしょう。

お勧めはウォーキングです。
4章で効果的な実践法をご紹介していますので、参考にしてみてください。
最低30分歩き続けることで、その後1~2時間体内の脂肪を燃焼させ、熱を発し、体を温めます。
最初は1日30分の時間を捻出するのが難しいかもしれませんが、通勤の際に1~2駅分歩く、少し遠くまで買い物に出かけてみるなど、工夫してみてください。


先生の豆知識コラム

川上智史

北里大学院医療系研究科医学
専攻博士過程修了医学博士

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