「男性不妊」という言葉が広まってきているとはいえ、「不妊検査」に夫婦そろって来院するケースは少ないのが現状です。女性側が一通りの検査を終えて、「異常なし」となって初めて、奥さんに懇願されてしぶしぶ「精液」
を自宅採取して提出するというのが、よくあるパターンと言えるでしょう。
しかし、できれば初めからご夫婦二人で「不妊検査」を受けるのが望ましいと声を大にして言いたいのです。
その一番の理由は、妊娠ということについて、女性は年齢的なタイムリミットがあるということ。
男性側の協力が足りなくて、時間的なロスをすることは、赤ちゃんを授かる可能性を自ら狭めているのと同じだからです。
女性は、30歳を超えると、毎年3.5%ずつ「妊娠能力」が下がるというデータがあります。
さらに、35歳を超えると流産率が急激に上がってしまうのです。
高齢になるほど赤ちゃんが授かりにくくなる最大の原因は、年齢と
ともに卵子の質の低下にあります。
女性は、産まれながらに卵巣に卵子を持っており、初潮を迎えて以降、毎月1個ずつ排卵します。
つまり、「卵子の年齢=女性の年齢」になるのです。
もちろん、老化のスピードには個人差があります。
子宮の状態も、それまでの生活習慣や健康状態に左右されるでしょう。
しかし、年齢が上がるほど赤ちゃんが授かりにくいという傾向は厳然とした事実としてあるのです。
あなたが検査を渋っている間、女性は刻々と妊娠のタイムリミットに向かって不安を募らせているのだと理解してあげてください。
人前で性器をさらすのは恥ずかしいと考える方もいるようですが、女性だって同じ思いをして検査をしているのです。
ましてや、本格的な不妊治療となれば、「排卵誘発」や「採卵」など、女性のほうが痛みを伴う負担が多くなります。
それでも、「赤ちゃんが欲しい」と強く願っているパートナーの姿を見たら……あなたが、どう行動したら良いかは明白でしょう。
女性より男性のほうが、「子どもを作る」ということに、当事者意識が薄いということはあるかもしれません。
でも、冷静に考えてみると、子どもを持つチャンスは、そう多くないことに気づくはずです。
妊娠の可能性は、1年で12回までしかありません。
しかも、1回のセックスで妊娠する確率は、約30%に過ぎないのです。
「子どもを持ちたい」というご夫婦共通の想いがあるのなら、是非、お二人でそろって検査を受けてみてください。
たとえそこで「不妊」と診断されても、さまざまに尽くす手があるくらい、医療は発達しています。
もちろん、本書でご紹介している方法を実践すれば、「男性不妊」を自らの努力でも改善していく強力なサポートとなるはずです。
まずは、「事実と向き合う」、そこから次に何をしていくべきか、最適な方法を見つけていっ
てください。
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