「精液検査」をしたほうがいい場合

男性編

「男性不妊」を正しく理解しましょう

●「精液検査」をしたほうがいい場合

「男性不妊」を調べる手がかりは、一にも二にも「精液検査」です。
女性の場合、エコーや触診など、さまざまに生殖器を調べる必要がありますが、男性の場合は、体外に出される「精液」の中身を調べるだけなので、検査自体は非常に簡単なもの。

病院の一室でマスターベーションによって精子を採取することに抵抗があるという方もいらっしゃるかもしれませんが、運搬時間(採取から3時間以内)や温度(38℃以下)に気をつければ自宅で採取して病院に持って行くことも可能です。
まずは病院に相談されるとよいでしょう。

おそらく、不妊が疑われた場合、パートナーである女性が先に検査を受けるというパターンが多いのが現状かもしれません。
もし、そこで、女性側に「不妊」の要因がまったく見つからなかったら、男性が精液検査を受けるべきと言えます。

また、たとえ女性に不妊要因が見つかったとしても、男性側にも不妊要因があり、カップルで「赤ちゃんができにくい」体質を持っている可能性も十分あり得ます。
くれぐれも「自分は大丈夫」という自己判断は禁物です。

まずは、下記のセルフチェックをしてみてください。
正直にお答えいただくことで、気づかなかった「不妊の可能性」が見えてくるかもしれません。

それを放置しないことが、赤ちゃんを授かる近道となります。


セルフチェックリスト
1精液の色が濃い黄色である
2精液の色が赤みかがっている
3他人と比べて睾丸が小さいような気がする
4睾丸を手に持つと軽い
5睾丸の大きさが左右で違う
6朝、勃起しない
7なかなか射精できない
8射精しても絶頂感がない
9肥満気味である
101日に20 本以上タバコを吸う
11毎日アルコールを摂取する
12強いストレスを感じる、疲労感がある

いかがでしたか?以下、個々の項目について詳しく解説していきましょう。

まず、(1)~(5)に1つでもチェックがついたら、精子や精液をつくるプロセスに何かトラブルを抱えている可能性があります。

通常、正常な精液の色は黄白色か白色です。
もし、濃い黄色だったり赤みがかったりしている場合には、前立腺や精せい嚢のうに炎症が起こっている恐れがあります。
急性のものと慢性のものがありますが、慢性になると造精機能が正常であっても、精液中に白血球が多い膿精液症となって、妊娠しづらくなっ てしまいます(精液検査で、白血球数もわかります)。

細菌や性行為からの感染など原因はさまざまにありますが、放置せず早めに医療機関を受診し、早期発見・治療を心がけるようにしましょう。

(3)~(5)は、睾丸の形状に対する質問です。男性器の中では、特に睾丸を注意深く観察することが大切になります。
というのも、睾丸に異常所見があると、精子を造る機能障害の大きな要因となり得るからです。

睾丸が小さい、あるいは軽い場合には、「睾丸萎縮症」の疑いがあります。
一般的なサイズの目安は、長さ2~4cm、幅1~3cm、厚み1~2cmの範囲で、容積量が12~15ml、重さで15g前後となっています。なかなか自分では判断がつきにくいと思いますが、他人と比べて小さめだなと感じたら、専門医にご相談されると良いかもしれません。

また、睾丸が小さかったり、左右で大きさが違ったりする場合は、「停留精巣」の疑いがあります。
これは、精巣が陰嚢(いわゆる玉袋)内に降りてきていない状態のこと。
精巣にとっての最適温度は32~34℃と体温より低い状態で、それより高温になると精子を造る機能が低下してしまいます。
そのため、精巣は少しでも体温からのストレスを避けようと、陰嚢内に収まるのが通常なのですが、まれに体内に埋もれたまま、下に降りてきていないケースがあるのです。

たいていは小児期の検診で発見されるのですが、程度によっては見落とされている可能性もありますので、気になる方は医師に診察してもらいましょう。

(6)~(8)は、ペニスの状態に関する質問です。
まず、「朝勃ち」しないのはEDの最初の兆候と考えてください。健康な男性の場合、性的興奮に関係なく、レム睡眠と呼ばれる眠りの浅い周期で勃起するのが自然現象です。
寝覚め間際は最後のレム睡眠の周期に当たります。
そこでの勃起が「朝勃ち」となるわけですが、これがない場合、自律神経のバランスが崩れているか、器質的な疾患がある可能性が疑われ、そうなると造精機能も低下している可能性大です。

一方、「なかなか射精できない」「射精しても絶頂感がない」のは、尿道や精管など精子の通路に障害があるケースも考えられます。
造精機能に問題がなくても、膣内に十分な精子を放出できないのでは、自然妊娠は難しくなりますから、他の項目も含めてこちらにチェックが入るようなら、医師へのご相談をお勧めします。

ただ、ペニスの状態やセックスに関しては、器質的な疾患だけでなく、心因性のものも疑われますので、場合によってはカウンセリングなどの対策も有効となるでしょう。

(9)~(12)は、生活習慣に関する質問です。
肥満は、男女ともにホルモンバランスを崩す大きな要因となります。
男性の場合は、精子の運動率低下や勃起障害が発生するリスクが高まりますので、食生活の改善と運動で体重を落とす努力をしましょう。
特に、運動は大事です。3章で詳しく解説しますが、筋肉量を増やすことが、造精機能をアップすることにつながるので、必ずダイエットに取り入れてください。

喫煙も、男女ともに「不妊」のリスクを高める悪者です。男性の場合、精子の生成を促し、精子の動きを活発にする働きがある体内のビタミンCを、タバコに含まれる成分が破壊してしまうのが大きな問題となります。

実際、喫煙している人は喫煙しない人に比べて、精液中の精子濃度、総精子数、総運動精子数が劣る傾向があります。ある調査によると、1日20本以上タバコを吸う男性は、異常精子の割合が非喫煙者より2.5倍も高くなっているというデータもあるくらいですから、男性不妊を改善したいなら禁煙するにこしたことはありません。受動喫煙の害もありますから、パートナーも吸うなら同時禁煙が鉄則です。

アルコールもほどほどなら問題ありませんが、毎日大量に摂取すると精子をつくる時に必要なホルモンであるテストステロンの分泌減少や精子量そのものを減少させるおそれがあります。
また、肝心なときに勃起や射精ができないということが続けば、EDの原因ともなりますので、くれぐれも自己管理をするようにしましょう。

最後のストレスや疲労感などは、男性ホルモンの分泌低下を招き、その結果、精子数の減少やEDを引き起こす可能性があるので、要注意です。
男性ホルモンだけではありませんが、ホルモンの分泌の指令はすべて基本的に「脳」から出ています。
実際に精子をつくっているのは精巣ですが、精巣が活発に動くためには男性ホルモンの働きかけがなくてはなりません。
その意味で、「精子は脳でつくられる」と言うこともできます。

ところが、ストレスや極度な疲労があると、ホルモンバランスが崩れて、男性ホルモンの値が上昇していかないので、脳からの「精子をつくれ」という命令が出なくなってしまうのです。

今の世の中、ストレスや疲労と無縁に生きるのは難しいかもしれませんが、自分なりの気分転換法を身に付け、心身をリフレッシュするよう心がけるのが、「男性不妊」改善には必要と言えるでしょう。

本書で紹介している、軽めの運動やマッサージなどは、ストレスで緊張状態にある神経をほぐす効果も期待できますので、是非実践してみてください。

  以上、12のチェック項目を挙げてましたが、4~5個以上チェックが付くようでしたら、「精液検査」でご自分の体の状態をご確認することをお勧めします。
特に、(1)~(5)にチェックが1つでも付いたようなら、器質的な疾患の疑いがありますので、早急に受診を検討してください。


そのほか、
・おたふく風邪で睾丸炎(睾丸がはれた)を併発した
・結核
・性病
・腎盂腎炎・マラリヤ・腹膜炎・腸チフスなど高熱を出す病気
・睾丸の外傷や手術、そけいヘルニア・尿道下裂など外性器の手術


といった既往歴のある方も、造精機能障害や精子通路障害を起こしている可能性があるので、心配な場合は医師に相談してみると良いでしょう。

とかく男性は一人で悩みを抱えがちです。
仕事が忙しいと、つい病院へ行くのを後回しにしてしまうこともあるでしょう。
しかし、そのストレスや対応の遅れがさらなる「不妊」の要因となる悪循環に陥っては元も子もありません。
現在は、土日診療をしている病院も増えていますので、仕事が休みの時にでも、気軽に病院へ足を運ぶようにしてみてください。


先生の豆知識コラム

川上智史

北里大学院医療系研究科医学
専攻博士過程修了医学博士

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